ESGポリシーの目的

2023年ESGポリシー(以下「本ポリシー」)は、アンジェロ・ゴードン(以下「当社」または「AG」)の投資プロセスおよび投資戦略において環境・社会・ガバナンス(総称して「ESG」)の要素を統合するアプローチを示します。本ポリシーは、当社が成長し、企業活動を拡大するにつれて進化していくことを目指しており、ESG委員会による定期的な見直し・改訂の対象となります。


ESGインテグレーションへの取組み

30年以上にわたり、AGの投資アプローチは一貫しており、徹底した調査および投資元本の保全への注力に基づく、規律あるポートフォリオの構築を行っています。当社は、責任投資にコミットしており、重要な(1) ESG要因と社会的評価を投資運用事業と内部ガバナンスのフレームワークに取り込むことで、これを実現するように働きかけます。これを「ESGインテグレーション」と呼びます。

ESGインテグレーションは、潜在的リスクと付加価値源泉の幅広い範囲を捉え、リスク調整後リターンの強化に潜在的に貢献することから、当社が長年培ってきた投資哲学および受託者責任に対する考え方とも一致します。重要なESG要因がリスク調整後リターンに与える影響は、戦略や資産クラスによって様々であることを認識した上で、本ポリシーを各戦略に特化した補完的ESGポリシーに適用します。

当社は国連が支援する責任投資原則(PRI)に署名しており、それを支持し、ESGへのコミットメントを示すべく、以下に取り組みます。(2)

  • 重要なESG要因の管理のため企業レベルでの持続可能なガバナンスと監視プロセスを導入すること。
  • 重要なESG要因を投資意思決定へ取り込み、評価すること。
  • 戦略に応じて適宜(3)、投資ライフサイクル全体を通じて文書化すること。
  • 全事業分野、全地域にわたりESG教育プログラムを構築すること。
  • 投資先企業からの適切なESG重要事項の開示を求めること。
  • 関連する規制要件および/または開示を遵守すること。
  • 必要に応じて、可能な限り、企業の投資バリューチェーンのオペレーティング・パートナー、投資パートナー、請負業者とともにESGパフォーマンスに取り組むこと。
  • 同業他社と協力し責任投資およびESGインテグレーション原則を一層推進すること。
  • 新しい ESG の取り組みとその進捗状況について利害関係者に報告すること。

(1) 本文書では、米国またはその他法域の証券法またはその他法律の下で使用されていること、もしくは財務諸表および財務報告の文脈で使用されていることを理由に、「重要な」または「重要性」という用語は使用していません。一般的に、重要な ESG 要因は「合理的な投資家」が投資意思決定を行う際の情報の「トータルミックス」に関連すると考えます。 当社の投資専門家は、1) ESG要因が投資パフォーマンスに影響を与える可能性、2) パフォーマンスに影響を与える場合に予想される程度の大きさ、に基づき、重要な ESG 要因を評価します。その重要性は動的であり、投資家の意識とESG要因およびそのトレンドの資産価格への織り込みが加速するにつれて進化すると考えています。 重要な ESG 要因の評価は、投資専門家の独自の裁量に委ねられています。

(2) 本取組みリストは一例です。 列記されているすべての行為が、すべての投資または戦略に関して実行されるわけではありません。

(3) 当社の投資戦略と資産クラスは多様であるため、投資専門家が重要な ESG 要因をそれぞれの意思決定プロセスに組み込み、評価する方法は、投資戦略、地域、資産クラスによって異なります。 当社は、要請に応じて、戦略固有の ESG ポリシーを提供する場合があります。 ポリシーと手順は変更される場合があります。


ESGインテグレーション

AGの投資専門家は、投資ライフサイクル全体を通じて重要な ESG 要因を考慮すべく訓練されています。他の投資リスク要因同様、関連する投資プロセスの中で、投資が行われた時点でどの ESG 要因が「重要」であるか、または保有期間中に「重要」になる可能性があるかを自身の裁量で判断します。当社においては個々の投資戦略を担当する投資専門家が、ESGインテグレーションに対して責任を有します。これは、当社の投資専門家が、個々の戦略と投資目的の中で ESG 関連リスクと付加価値源泉を評価するのに最適な立場にあると考えるためです。投資によっては、第三者のデータを利用して ESG 要因を評価する場合がありますが、そのようなデータまたは第三者の評価指標は、AG の分析または最終的な投資意思決定を証明するものではありません。当社の ESG 責任者が率いるESG チームは、必要に応じて、重要な ESG 要因の評価中に当社の投資専門家と協力します。何かしらのESG関連リスクが存在することを理由に、案件への投資を必ず見送るというようなことは意図していません。ここでも、ESG要因はその重要性に基づいて評価されます。当社のESG インテグレーションとその結論は、正式な投資意思決定プロセスの一環として、最初に文書化されます。(4)

クレジット戦略  当社は2019年にサステナビリティ会計基準審議会(「SASB」)のアライアンスメンバーとなりました。重要課題に対するSASBのアプローチは、当社のクレジット戦略全体にわたる基盤を築いています。当社の投資専門家はSASBナビゲーターとその補助資料を参照し、重要なESG要因が投資パフォーマンスに与える影響を特定・評価します。SASBの枠組みを超えた取組みとして、当社の投資チームは投資案件固有の追加ESG要因を特定し、関連市場、セクター、および資産クラスの中で特異なガバナンス要因を評価するための戦略固有のアプローチを採用する権限を与えられています。

不動産戦略  歴史的に、当社の不動産投資チームは、特に当社が株式の投資管理をしている場合に、投資プロセスにおいてESGリスクを軽減しようと努めてきました。持続可能な建築に対するテナントの需要とESG特性が市場価格に影響を与える傾向は、世界の不動産市場で加速しています。その中で、当社の不動産戦略は、可能な限りESG要因を促進すると同時に、財務的価値を創出し、リスク調整後リターンを高め、投資家に対する責任を果たす立場にあると考えています。そのため、当社のESGインテグレーションへのアプローチには、リスク軽減に加え、保有期間中および売却時の戦略的なESGを通じた付加価値創造機会特定の両方が含まれます。

私募不動産市場における重要な ESG リスクと価値創造の機会は、場所および資産クラスによって必然的に異なりますが、当社の不動産投資専門家は、取引プロセスにおいて標準化された ESG インテグレーションのフレームワークに従います。 これには、ESG デューデリジェンス、事業計画策定への ESG 要素の組込み、投資委員会への潜在的なESG リスクと価値創造の機会の提示、保有期間中の ESG 要因と取組みの監視が含まれます。

裁定取引戦略  当社は、短期的な合併裁定取引および転換社債裁定取引戦略への限定的なエクスポージャーを有します。 投資チームは、人工知能ベースの ESG 市場センチメントおよびリスクスクリーニングツールを使用して、保有期間全体にわたって重要な ESG 要因を識別することができます。

(4) 投資委員会覚書を提出しない戦略または投資の場合、ESG インテグレーションに関する文書は別の形式をとる場合があります。


ESGガバナンス

経営陣  AGの共同最高経営責任者は、ESG投資慣行と持続可能性に対する当社の企業責任を監視します。ESGおよび持続可能な投資戦略の責任者(以下「ESG責任者」)は、共同最高経営責任者、最高執行責任者および法務統括責任者と定期的にミーティングを行い、責任投資の目的に関する進捗状況について話し合います。これらの会合には、当社の投資管理プラットフォームにおける投資活動において発生する重要なESG関連のイベントおよびインシデントのレビューが含まれます。当社に対する重大なレピュテーション・リスクにもなり得るESGインシデントはレピュテーション・リスク委員会に付託されます。共同最高経営責任者は、関連するESG問題について、当社のパートナーシップ諮問委員会に報告する責任があります。

ESG責任者  当社のESG責任者はESGインテグレーションプロセスの設計・実現を推進すべく、投資チームと連携します。ESG責任者はESG委員会の議長を務め、戦略全体にわたるESGトレーニングと教育を担当し、ESG市場と規制の動向およびそれぞれの戦略に関するリスクについてチームに助言します。また、さらに、ポートフォリオレベルおよび全社的レベルでESGリスクを識別・監視するためのプロセスを開発、推進する任務を負います。

ポートフォリオ・マネージャーおよび投資専門家  アンジェロ・ゴードンの投資専門家は、投資ライフサイクル全体を通してESG要因を適切に特定、評価、文書化する責任を最終的に負います。ESG責任者と協力のもと、投資チームは、各戦略において台頭する最新のリスクと付加価値源泉を捉えるべく、ESGインテグレーションへのアプローチを将来にわたって進化させる任務も負っています。

ESG委員会  アンジェロ・ゴードンのESG委員会は、本ポリシーの投資および運用意思決定への統合を監督しています。同委員会は、ポートフォリオ・マネージャー格の投資専門家の代表メンバーと、法務・コンプライアンス、クライアント・パートナーシップ・グループ、IT、人事および広報などの主要なサポート部門のリーダーで構成されています。四半期毎に開催される同委員会は、企業レベルおよび個別戦略に特化したESGインテグレーションの取り組みの発展と情報交換のための戦略的なアドバイザリーフォーラムとして機能します。さらに、投資委員会または投資専門家が暫定的な、もしくは投資案件固有の ESG に関する質問または問題を提起した場合、フィードバックを提供します。当社全体の主要ESG利害関係者との継続的関与のための仕組みとなり、戦略および地域全体でのESG構想の実施と報告の両方を推進します。